No.5 教育するという行為の責任の重さ

「日本(のスポーツ界)には,一生懸命頑張る文化はあるけれど,選手が自ら考えて行動する文化がなさすぎる」

 

このように指摘するのは,大学教授の守屋志保さんです。

現在Jリーグ常任理事の佐伯夕利子さんが著した「教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術」の一節にこのような記述がありました。

そして,佐伯さんは日本とスペインの子供を比較して,次のように述べています。

 

 例えば,ロッカールームで問いを投げると,日本の子どもで自分から発言するのはすごく少数です。教室では先生から質問されて,恐る恐る挙手し,名前を呼ばれて初めて発言権を与えられる文化だからでしょうか。

 スペインの教育現場は,先生が問いを投げ終わる前に「それはね,こうだと思う」とみんな一斉に答えを言い始めます。間違っていたらどうしようと逡巡する子はいません。先生は笑顔で「ちょっと待って」と子どもたちを落ち着かせてから,「じゃあ,ルイス君」などと当てます。コミュニケーションのありようがまったく違います。

 

 このような違いを生みだしているのは,教育の在り方の違いだといってもよいと考えます。

 現場にいると,「学力向上」「テストの点数」「この領域の知識が・・・」という一側面の話題ばかり耳にします。

 しかし,教育の目的は,「人格の完成」を目指すことです。(教育基本法第一条)どのような人に育ってほしいのかを考え,教育にあたる必要があると考えます。

教育の在り方を変えていくチャンスは”今”だと思っています。

”今”変わらなければ,今後も変わっていきません。

 

佐伯夕利子(2021)『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』,小学  

  館新書.